令和4年9月29日(木)および30日(金)に「福島県井戸沢断層・湯ノ岳断層およびいわき市周辺の災害現場の巡検」を開催いたしました。両日とも好天のなか、無事開催することができました。1日目は、昼にスパリゾートハワイアンズ玄関脇に集合し、最初に国道289号田人地区の複数の斜面崩壊・土石流が発生した箇所で、排水設備やのり面保護工を視察しました。その後は車で北上しながら、3箇所ほど井戸沢断層跡や断層崖を視察しました。地表地震断層が出現してから、10年以上経過しているものの、現地の人たちの献身的な残存活動によって今でも生々しく感じられます。珍しい西落ちの正断層とのことで、2m程の断層崖や堰止め池が残っています。夕方には、宿(スパリゾートハワイアンズ)に入り、夕食後のショ-見学に向かうとそのド-ム会場には、湯ノ岳断層で上下にずれた柱と桁をそのまま修復して利用している状況が確認出来ました。また、震災前にはなかった支柱が3本施工されたのだそうです。2日目は、朝からスパリゾートハワイアンズ敷地内の湯ノ岳断層跡を視察した後、上釜戸地区に移動して地すべり対策工(アンカ-工575本)を視察しました。次に遠野町入遠野に移動し、宮沢川内を足場が悪いなか苦労して歩き、御斎所変成岩類と新第三紀層が接する湯ノ岳断層露頭を観察しました。最後は、住宅地である泉もえぎ台の谷埋め盛土の崩壊箇所で、大型ふとんカゴ工+排水ボ-リング工、のり枠工(+鉄筋挿入工、排水ボ-リング工)のほか集水井工を視察しました。この時点でまだ時間があったため、急遽常磐湯本温泉株式会社の源泉揚湯設備を見学および温泉の試飲をさせて頂きました。源泉は、揚湯場の地下620mにある地下空洞(炭鉱跡)から180mボ-リングして58℃のお湯を汲み上げているそうで、この場所から各旅館・ホテルに給湯しているそうです。この後、スパリゾートハワイアンズに戻り、昼食後の質疑応答で今回の見学会が終了となりました。今回は、齋藤勝氏(那須野が原経済地質研究所)と新田邦弘氏(株式会社 地質基礎)には、2日間に亘って案内および説明をしていただき、参加者一同とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。見学会には、総勢8名(現地案内者含む)にご参加いただきました。
「見学会」カテゴリーアーカイブ
9月27日 令和元年度現地見学会を開催いたしました。
令和元年年9月27日(金)「岩手県川船断層および秋田県仙北地方の千屋断層の巡検」を開催いたしました。1896年(明治29年)の陸羽地震(M7.2)によって出現した川船断層および千屋断層をテーマに、8月の技術サロンでもご講演をいただいた斎藤勝氏(株式会社ダイヤコンサルタント東北支社長)に現地案内をしていただきました。また、今回は岩手県支部との合同で開催し、東北本部12名、岩手県支部9名総勢21名の参加となりました。
朝8:00泉中央駅前に集合、岩手県湯田インターチェンジで岩手県支部の参加者と合流後に川船断層に関する断層崖を観察いたしました。
最初の見学地である川船断層地震断層跡は、地形の段差や道路の起伏として出現しており、断層であることを示す標柱などもありました。次の見学地では、高下橋から高下川に見られる断層を観察した後に林道を入り、各段丘面上に断層崖が発達している様子を観察しました。今回の巡検では、最も起伏があり移動距離も長いルートとなりましたが、黒墨部会長の喝(?)もあり、参加者は地質屋の基本を忘れずに往路のみならず、復路も観察を怠らずにに歩くことができたようです。
昼食は、湯田駅に近接する湯夢プラザでタックエンジニアリング様が用意して頂いた赤青立体地図を見ながら頂きました。湯田駅は、温泉が併設されていることで有名ですが、今回は残念ながら利用する時間はなく、次回に期待することとしました。
昼食後は、秋田県に入り千屋断層断層崖を観察しました。千屋断層は、扇状地面上に出現しており、断層の連続性を観察できすることができました。坂本東嶽邸内に本年6月1日にオープンした千屋断層学習館は、震災後の東嶽邸の写真や、断層剥ぎ取り資料、地形模型(トレンチ時の状況)などが展示されており、陸羽地震後の様子を知る貴重な資料を見ることができました。千屋断層トレンチは国の天然記念物に指定されていますが、残念ながら現在はシートがかけられ全貌を見ることはできませんでしたが、断層崖は連続して観察することができ、また近傍には看板や標柱があり、トレンチ実施時の状況を知ることができました。
千屋断層では、その他赤倉川北岸の断層露頭や地震断層に子供が巻き込まれ亡くなった花岡山断層崖などを観察しました。岩手県支部の参加者はここで解散となり、東北本部参加者はその後泉中央駅で解散、帰路につきました。
地震断層は、崖となって出現しているだけではなく、起伏としてその形跡を留めるものなど様々であり、比較的新しい地震断層である川船、千屋断層でも、斎藤氏の案内で初めて断層と気づかされる箇所もありました。地震断層の判別は、空中写真による地形判読や現地踏査等により判断され、特に重要な箇所ではトレンチなどの現地調査が行われますが、地形、地質を見る目を養い、経験を重ねることが大切だと改めて感じました。






最近の見学会
令和4年度(2022/9/29~2022/9/30)
テ-マ:福島県井戸沢断層・湯ノ岳断層およびいわき市周辺の災害現場の巡検
場 所:福島県いわき市
案内者:齋藤 勝氏(那須野が原経済地質研究所)
:新田 邦弘氏(株式会社 地質基礎)
令和元年度
2019/9/27
テ-マ:岩手県川舟断層および秋田県仙北地方の千屋断層などの巡検
場 所:岩手県和賀郡西和賀町および秋田県仙北郡美郷町
案内者:齋藤 勝氏((株)ダイヤコンサルタント)